ヨガコーチ・幸村亜美「息を整えることで、生きる心地の良さを感じてほしい」

13gymへ通っていらっしゃる生徒さんの中には「実はヨガにも通っているんです」という女性の方が結構いらっしゃるんです。
そんな方々には待望のヨガクラスが13gymにもできました!
そして今回はヨガクラスの講師を担当する幸村亜美さんに「ヨガ」に対する思いをお伺いしました。
体だけでなく、心のしなやかさを身につけたい方、幸村さんのヨガクラスを一度受けてみてはいかがでしょうか?ご自身にとっての気持ちよさが実感できるかもしれませんよ。
1.ヨガ未経験で「ヨガ講師養成スクール」に通うことになった10代のころ。
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幸村さんがヨガを始めようと思ったきっかけについて教えていただいてよろしいですか。
幸村さん
実は大学受験に失敗してしまい、ライフスタイルや精神バランスが不安定な時期があったんです。
当時、もう一度受験に向けて気持ちを奮い立たせるのをとても難しく感じていました。
そんな私の様子をそばで見ていた母が、当時の母の趣味だった「ヨガ」を勧めてくれたんです。
母が通っていたのは、数あるヨガの流派の中でもアシュタンガヨガの教室でした。
これは幼少期からですが「自分のことは自分で決めたい」という気持ちが強い、孤高の旅人タイプということもあり、母の通う教室ではなく、まずは自分に合いそうな教室を探すことから始めました。
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講師養成スクール?ということは、ヨガを教える方になるための学校ってことですよね。
幸村さん
はい。ヨガ教室について調べていくうちに、どうせならその道のプロフェッショナルである「講師を育てている先生から直接ヨガを学んだほうが理解が早いんじゃないか?」と思い、”ヨガ教室”ではなく”ヨガ講師養成スクール”でヨガ初体験をすることに決めたのです。
もともと私は猪突猛進型で思い立ったが今に全集中。少しせっかちなところもあるのかもしれません(笑)。
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ベンチャー企業の経営者のようですね(笑)
幸村さん
「ヨガ未経験の、本当に初心者の方が来られたのは初めてです」と養成スクールに初めて伺った際にスタッフの方にとても驚かれました。
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まちがえちゃったの?みたいに思われますよね(笑)
幸村さん
そのとき体験させていただいたクラスが本当に素晴らしかったんです。
マンツーマンだったこともあり、自分だけのヨガ時間に浸ることができ、身も心も満たされた記憶です。
たった60分の間にこんなにも思考や感情が静かになれて、落ち着ける空間があるなんて、自分のベッド以外ないと思ってましたから、自分が自分に驚きでした。
きっと初めてのヨガ体験がもしグループセッションだったとしたら、それほどまでに自分に集中できることはなかったでしょうから、惹かれることもなかったかもしれません。
その体験がヨガ人生のきっかけとなり、体験後そのまま帰りに受付で養成スクールに申請書を出しました。
スクールに通うというのは、いわゆる趣味のヨガ教室とは異なり、単にヨガを実践するだけではなく、座学の時間や他の受講生と共に学びを進めるクラス編成された実技の授業があります。
ヨガ哲学や解剖学など、趣味の領域を越えた専門カリキュラムが豊富だったことも、魅力的でした。
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それって、もはや大学に行くのと変わらない状態ですよね。
幸村さん
まさに、おっしゃる通り。
養成スクールに通うようになってからは、あれだけ思い悩んでいたことだったのに、いつの間にか挫折した大学進学のことは頭からすっかり離れていました(笑)。
どの局面においても精通しますが、挫折からの学びに移行させる時ほど精神的にも肉体的にも急成長するタイミングってなかなかないのではないでしょうか?
当時の私には、大学進学ではなく、ヨガを通して心身を自己成長させることのほうが必要だったんでしょうね。
2.妊娠→出産を経て気づいた、ヨガで身につく「心と体の適応力」

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講師養成スクールを終えたあとは、すぐに教室を持たれたんですか?
幸村さん
ありがたいことに、卒業後、同養成スクールの講師として就職させていただき、一般的な新卒年齢よりも少し早く、社会に出ることになりました。
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もうその頃には、すっかりヨガを教えるヨガ講師になられていたんですね。
幸村さん
はい。今思い返すとひよっこでしたが。
養成スクールの正社員として働き、出産を期にフリーランスとして活動を始めました。
妊娠が分かったのが先だったこともあり、結婚、妊娠、出産においても、全て1年間に起こった出来事で、身体や環境、ライフスタイルに目まぐるしい変化のあった時期でした。
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私にも一人娘がいますが、妻を見ていて思ったんですが、女性にとって妊娠→出産の時期は心身ともに大きな負担がかかる時期ですよね。
幸村さん
そうなんです。
月一の月経を通して女性の体の中で毎月起きているホルモンバランスの変化が「20階建てマンション」から落ちる感覚だったとしたら、出産後の落下は「エベレスト」からと言われています。
妊娠から出産においてのホルモンバランスの急上昇、急降下を男性でも経験できる近しい感覚で例えたとしたら、血糖スパイクのようなダメージでしょうか、、。
(眠気、だるさ、集中力低下、イライラなどの症状)
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そのあたりは、やっぱりヨガの効果が出ていた…
幸村さん
はい。十代の大きな挫折の時にヨガを通して”自分の心身の扱い方”を習得できたことはその後の人生に影響を与えてくれました。
もちろん、今もなお。
妊娠から出産まで、ほとんどストレスなく過ごせましたが、もちろん自らの力だけとは思っていません。
挙式の打ち合わせや、準備諸々、主人や親族の献身的なサポートもあったからこそ、自分の身体と当時お腹に宿していた長男へ、穏やかに向き合うことができたと思います。
(今思い返すと本当に感謝でいっぱいです・・)
出産後は心身ともに更なる逆境に置かれ、エベレストから落ちた状態から子育てが始まります。
自分の子供を自分よりも大切にしたい、ある時はしなければ・・という献身的な想いや使命感が無意識に働きがちです。
ですが、守るべきものができた時こそ、心の余裕や容量が必要です。
母乳を与え続けてばかりで、母親が栄養を摂らなくては、出なくなってしまうように、心も身体も乾いてしまいます。
与えたら与えた分、どこかで補充が必要です。
どのように満たすか、満たされるかは人それぞれですが、私の場合、この時初めてこれまで誰かのために行っていたヨガクラスを、自分のためのセルフケアの一環として行うようになりました。
ヨガを通してセルフケアをすることが、私にとっての充電時間になっていたんです。
妊娠から出産期は、ヨガの真髄に一層近づけるターニングポイントだったと思います。
3.ヨガは「生き心地をよくする存在」

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毎日多忙に過ごされて大変と感じている方ほど、ヨガを知ることは良いことかもしれませんね。
幸村さん
そうですね。
子育て問わず生きていく上で精通することですが、他者や社会のニーズに応えることに追われている方、自分自身の「心地よさ」に意識を向ける時間が減っているように感じます。
その結果、心身のちょっとした不具合や違和感に気づけず、気づいた時には回復までに時間を要するほどの病になっていたりします。
なんの為に生きているのかという本質的であり、根源である自分との答え合わせには、ヨガは絶好の機会だと思っています。
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「自分自身の心地よさ」ですか。確かに言葉にしてみると意外と考えてないかもです。
幸村さん
そうなんですよね。即時応えられない方がほとんどです。
私にとってヨガは「その時の生き心地を確かめるツール」です。
お顔の表情や行動はいくらでも状況に応じて取り繕うことができますが、唯一、心の表情を偽りなくうつしてしまうのが、呼吸だと思います。
その時行っている呼吸はどのような表情をしているのか、速さや長さ、次の一息にうつるまでの間には、心のすべてがあらわれます。
命の源である呼吸だからこそ、きっと嘘をつけないんですよね。
クラスでも「呼吸の安定」や「呼吸の形」を意識してもらうような伝え方をしています。
例えば、「今の呼吸の形を体の動きで体現してください」というような伝え方です。心と体を連動させて動かし、通常目に見えない呼吸の表情を可視化するようなイメージを持って取り組んでもらっています。
4.格闘技とヨガの違いってなに?
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格闘技とヨガって何が違うと思いますか?
幸村さん
向き合う対象でしょうか?
格闘技って基本的に「相手がいる」ことが前提で練習すると思うのですが、ヨガは、向き合う対象が「自分」になってくるので、そこは大きな違いだと思います。
相手と向き合う以前に、自分をしっかり理解している人の方が本当の意味で人として強い方のように感じます。
強いというのは、物理的な力という意味合いではなく、精神力と言った方が近いかも知れません。
自分への扱い方を理解された上で、対人戦に挑める方は、自分と相手の距離感のはかり方もわかっているような気がします。
格闘技に関わらず、自分としっかり向き合っている方は、人間関係の悩みにも固執されませんし、むしろ学びに変えて順応されているように思います。
人間の悩みのほとんどは人間関係から生じるものなので、格闘技などの対人戦術の土台作りとして取り入れていただくのも良いのではないでしょうか。
5.上手にやろうと考えず、気軽に参加して欲しい。

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今からヨガを始めたという方に伝えたいことはありますか?
幸村さん
ヨガというと、ポーズの精度が大切だと思っている方が多いように感じます。
実際、クラスに初めて参加される方の中には、周りの人の動きを一生懸命に真似しようとされる方もいらっしゃいます。
けれど私が大切にしているのは、ポーズそのものよりも、「その時、自分がどう感じているか」に意識を向けることです。
「正しくあること」よりも、「その瞬間の自分に正直であること」。
「できているか」ではなく「身体の反応に忠実であるか」
そこには、成果を積み重ねる社会的な価値観から、いのちの本質へと視点を戻すような、満ち足りた感覚が息づくように思います。
ですから、うまくやろうと気負わず、安心して気軽にご参加いただけたら嬉しいです。